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[コメント] 日曜日が待ち遠しい!(1982/仏)

一見、良くあるB級サスペンスの衣をまとっているが、茶目っ気が溢れる痛快なコメディ。これも作風幅広いトリュフォーのおいしい“味”のひとつ。
Keita

**ネタバレ注意**
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雨の中を車で走るファニー・アルダンの表情が、『サイコ』でのジャネット・リーを彷彿させるシーンもあり、ヒッチコックへのオマージュ的な映画として製作されているが、サスペンスという視点から見ると、この映画のタッチはB級であり、下手にヒッチコックを模倣した作品に思える。だから微妙な映画だろうと途中までは諦めていた。

しかし、そんな映画ながら、サスペンスという形をしたトリュフォーらしいドタバタコメディだと気づくと、遺作ということもあり非常にいとおしい映画に思えてくる。ヒッチコックがサスペンスという形をとりつつ、しっかりとラブストーリーを作り上げていたのと同様に、トリュフォーはサスペンスという形を利用して『ピアニストを撃て!』や『私のように美しい娘』のような茶目っ気たっぷりのコメディを作り上げたのだと思う。「『日曜日が待ち遠しい!』でした。」で締めくくられることからも、その茶目っ気を感じさせる。ボクのお気に入りのシーンは警察の目を逸らすためのキスを、夜景を眺めたあとの車に乗る前に繰り返すシーンだが、そこでもやはり茶目っ気が感じられるのである。

トリュフォーの最後の作品ではあるが、実は一番万人にお薦めできる素直に楽しめる作品だとボクは思います。

(評価:★4)

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