[コメント] 恋のエチュード(1971/仏)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
劇中でアンを愛した男、ディウルカは言う―「恋には始まりがあり、中間があり、終わりがある」。当たり前かも知れないが、その台詞をこの映画は見事に表現している。
ミュリエルとクロードの痛々しい恋愛・・・。
印象派絵画を連想させる英国での美しい景色をバックにした初期〜〜離れ離れになり、ミュリエルの苦悩を詩的に表現した中期〜〜痛々しいほどに愛し合い、官能的に狂おしく終わりを向かえる終期。
ミュリエルとクロードの間には、アンを挟んだりと、あまりにも様々なことが起こりすぎた。2人は結ばれない、幸福にならない、それが痛いほどに良くわかる。終わるべき恋である。なんて痛切な恋愛だろう・・・
「恋には始まりがあり、中間があり、終わりがある」。エピローグを見ることで、この台詞について思い返された。15年が経ち、ロダンがしっかり評価されたりと、時代は変わっていく。それと同じように、クロードが経験した恋愛も様々な過程を経て終わっていき、クロード自身も変わって行った。
トリュフォーは人生と恋愛を、得意の三角関係を用いて、完璧に描ききった。描いている期間は20年にも及ぶ。それを132分で詰め込んでしまうとは・・・!『突然炎のごとく』以上に立派である。トリュフォー本人によるナレーションだったり、無駄のない編集だったり、原作小説を映画化する際には見習うべきというほどだろう。芸術的で、文学的で、どこを見ても詰まりに詰まった2時間強だ。
あまりに痛々しい恋愛・・・失恋直後には絶対見ない方が良さそうな映画だ。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。