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[コメント] 魚と寝る女(2000/韓国)

釣り宿という舞台設定は、疎外感とそれに相反するかのような映像美を高めていて、キム・ギドクのオリジナリティが顕著に見て取れる。ただ、人間描写に関しては、台詞に依存しないことによる雑さがあるようにも感じた。
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 キム・ギドクの個性が表れている映画だ。過激な暴力、売春とセックス、それに相反するかのような映像の美しさ。優等生的な映画監督なら避けて通るであろうことを、キム・ギドクは躊躇することなくやってのけることに、異端児として魅力を感じる。

 しかし、この『魚と寝る女』の場合、主人公の女性が叫び声以外は一言も言葉を発しないという設定に必然性が感じられないように思えた。台詞に依存しない描写はキム・ギドクの作風だが、のちの作品『悪い男』でも同じく言葉を発しない主人公が登場し、そちらの方では言葉を発しないことで人物描写が深まっていた。しかし、こちらの場合は、孤独感などを表現しようとしているものの、あまり効果を発揮していたとは思えなかった。それが原因で、映画全体に対して首を捻ることになってしまった。

 確かに、映画というメディアでは、映像の力によって表現することが重要だと思う。台詞に頼りすぎてはいけない。だが、この映画の場合は、台詞に頼らなすぎたのではないだろうか。

(評価:★3)

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