[コメント] コンタクト(1997/米)
原作を書いたのは著名な宇宙物理学者,故カール・セーガン.彼は学者ですから当然科学的見地からしかものを言いません.私は高校生の頃,なんと博士と直接お話しする機会に恵まれ,その際ほんの冗談で「NASAが宇宙人を冷凍保存しているというのは本当か?」という質問をしてしまいました.すると博士はほほえみながら「少なくとも私はそういう情報は聞いたこともないし見たこともない」と.そのあと「しかし宇宙人が居ないと決まったわけではない」と仰り,SETIの計画のことを話してくれました.
この映画は科学者が書いた大まじめなファンタジーです.だから誰にでもわかる話ではないかもしれません.『X-ファイル』とはわけが違うのですから.そこのところは劇中でもおかしな宇宙信仰者として描かれています.さすがロバート・ゼメキスはそこをキチンと押さえてうまく仕上げていますね.原作者のスタンスを損なうことなく描いたと思います.ちなみに,ここんトコは博士の著書「人はなぜエセ科学に騙されるのか(上,下)」(1995,新潮文庫)でも読んでみると良いですよ.ズバリ書かれていますから.この映画を気に入らないSFファンは劇中で描かれるその“信仰者”と同じくこれまで「神秘的」であった部分に科学者が踏み込んできたことに対し嫌悪しているだけでしょう.
カール・セーガンはこの作品を書いたことで学者仲間からはずいぶん白い目で見られてしまったようですが,科学者がロマンチストであって何故いけないのでしょうかね.私は結局はコスモスをはじめとする彼の作品,藤子不二雄F氏のSF作品などに影響され,学問の道に入ってしまいました.でも,本職にしたいほどSFが大好きなのです.安っぽいSFファンにはなりたくありませんからね.
(でも私はX-ファイルもちゃんと見ていますョ.実はこういうのも好きなんでね.ただモルダーよりエリーと同業の方がいいのさ.)
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