この映画がひとつの山の頂を極めたことについては論を待たないでしょう．これは間違いなく名作です．★５です．

ただ，だからこそ，すでにその次が気になるのです．

皆さんお気づきのとおり，昨今のCGは全く見たことのない何かを想像するのではなく，何か懐かしい，共通した感覚の具現化を着地点とすることで成功してますよね．『三丁目の夕日』然り，ピクサーの多くの作品もまた然りです．そうすると，どうしても過去に目が向いてしまう．

有り余る表現力を発揮した『トイ・ストーリー３』は，今のピクサーにできる最高の作品であることは疑いようがないけど，同時にひとつの限界を示してしまったようにも感じられるんです．つまり，完璧すぎて見る側は何ら想像力を必要としない，そんな感じはありませんでしたか？何か凄く受動的に，椅子に座らされてからはアトラクションみたいで，最後は涙腺まで勝手に緩められたかのようで．鑑賞後少し経った今，若干の違和感が残るんですよ，僕の場合．確かに『トイ・ストーリー３』はある種の頂点ですが，古いカテゴリーの頂点に思えるのです．

未来というのは，ほぼ僕らの想像力の産物．映画を通じて想像力を育てるには「行間」と言うか，「カメラに写っていない部分」を如何様に作るかが大事だと思うんですよね．CGにはカメラに写らない部分が無いことは誰でも知っている分，これは相当難儀です．そこんところ，よ〜く考えるべきだと思うのです．だからこそ，いちど頂に立ったピクサーには，これから益々注目なのです．

でもしかし，なんだかんだ言って結局は号泣・大満足なんですけどね．