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[コメント] 海の上のピアニスト(1998/伊)

ラストがしっくり来ない二つの理由。

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







別に降りても降りなくてもいいと思う。どっちの考えも俺は共感できる。

ミュージシャンとかが、「こういう女が好き」って曲を歌った後に「こういう女は嫌い」って曲を歌うこともある。二つの曲の歌詞が矛盾してたりするんだけど、一曲一曲ではちゃんとした主張が感じられればそれは問題ない、とされている場合が多いし俺もそう思う。

要は、一曲の中にその主張がきちんと説得力ある表現が出来ていれば良いんだよね。リスナー側だって「春より夏が好き」って曲と「夏より春が好き」って曲と、両方好きな人もいるだろう。

映画も同じ。勇気を出した主人公を応援する名作もあれば、勇気が出せなかった主人公に同情する名作もある。その二つの両方が好きって人がいたっていいはずだ。

この映画のラストで主人公が船を降りなかった事に、なぜここまで批判が多いかって、ラストに至るまでの描写で「船を降りれなそう」な雰囲気を十分に表現できなかったから。頑張って船を降りてハッピーエンドでも全く違和感ない過程でラストまで来て、いきなり実は降りなかったでは納得できない人もいるでしょう。理由を口で説明してるだけってのは、一番やっちゃいけないパターンだと思うわけ。色々表現した後に一言、「俺、残るよ」とかだったらまだ分かるんだけど、全部自分で説明されてもねえ。

二つ目は、この映画があのトランペット吹きの回想形式だって事を徹底できてなかったこと。俺なんかもその辺うっかりしてて、他の人に指摘されて「なるほど」と思ったんだけど、そもそも全部あのオヤジのしゃべった話なんだから、別に主人公が実在しなくても良いんだよね。降りない理由だってオヤジのでっち上げかもしれない。あいつがそう思いたかっただけって事で。そう考えるとそこまで不満に感じる必要もないんだよな。これは俺としてもうっかりしてた。

こんな感じでどうでしょうか。

(評価:★3)

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