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[コメント] お熱いのがお好き(1959/米)

策士策に酔う

セリフ遊び、展開遊び、小道具遊び、脚本遊び・・・「脚本家病」とでも言うべきか。脚本家が横で語ってるみたい。「さあ、どうです皆さん!」みたいに。ちょうど紙芝居みたいな。「さあさあとっても面白いお話が始まっちゃうよ」 「この後二人はどうなってしまうのでしょう、目が離せませんよ」 「ご清聴ありがとうございました」・・・。 俺は脚本家と会話してるわけじゃないので。作品を鑑賞して結果的に「作り手と会話した」とか「作り手と闘った」って思う時は嬉しいけど、初めから作り手に話し掛けに行ってるわけじゃない。あんまり作り手の存在が露骨に前に出てくるタイプの作品は好みじゃない。黒澤がよくやらかすんだよね。まあ『椿三十郎』あたりがギリギリで、『隠し砦の三悪人』とかがそれに当たるわけだ。この映画好きな人なんか好みなんじゃないのかな、三悪人。策士策に溺れるというか、策士策に酔う系の作品が、俺としてはちょっと評価高すぎに感じる。俺は脚本家のヒネリ具合を品定めしてるわけじゃないから。

脚本家が目立つのが心地よい時とそうでない時がある。もっと開き直ったコメディとか、お約束系のど真ん中とか、わざとらしさがマイナスにならない、作品の中に脚本家の居場所が用意されてるタイプの話ならいいかもしれないけど、そうでない場合は作り手の存在は目立たないに越した事はない。俺だってミスター・ビーンのコント観て「わざとらしい!」なんて言ったりはしないよ。本作は感情移入は出来ないし、ストーリーが特別クギヅケになる話でもないし、かといってその場その場で大笑いする純然たるコントでもない。こういう作品での脚本遊びの行き過ぎがわざとらしさにしかなってない。勝手にもちネタ大会でもやって優勝してください。

というわけで、あの歌に+1点。

(評価:★3)

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