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[コメント] 魔女の宅急便(1989/日)

おなじみの純朴な少女に、純粋な少年に、異国情緒にと、見てくれは大変けっこうなんだけど、大人になって見返してみると、思春期の苦悩というテーマを後付けのクライシスなんかで回収できやしないのだと思ってしまう。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







たとえば、『となりのトトロ』のメイが初めて隣家のおばあちゃんに出会ったくだり――おばあちゃんが異形に見えてしまう幼児の感性、そして、容赦なく背を向けてしまう残酷。たとえば、『魔女の宅急便』の老婦人が懸命に焼いたパイをキキがとどけるくだり――喜んでもらおうと言う彼女の心を踏みにじる孫娘の言葉。

こんなハッとするような現実をさらりと盛り込んでしまう作家が、まさか、あんなラストを自分で信じているわけがないのだ。

メイが最後におばあちゃんに抱きつくくだりには、物語上の説得力があった。『魔女の宅急便』には、はっきりとそれがなかった。

最初の失敗作だと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)Orpheus 水那岐[*]

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