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[コメント] フライトプラン(2005/米)

堂々の3点
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







“移動する密室内で目の前にいたはずの人間が消滅、周りに訊くも誰一人その人の記憶がない”というネタを聞いた時から、「ああ、ジョディねえやんが『バルカン超特急』をおやりになる企画なのね」と了解して見ろ! とか思うのはいくないファン心理であって、来日記者会見を見てもこの年でこんなにかわゆいんだからシナリオなんかどうでもいいだろ! とか、そういう乱暴なことを言ってはいけないんであって、犯人が割れてからの物語の回収が大概なのは事実なんだから、『タクドラ』の頃からのファンとかも大人のジャッジをしなさいよ、と。

ただ、そもそも『バルカン超特急』もどきの楽しみってのは「その人は本当に存在していたのか?」と思わせられている間、つまり犯人が割れる直前までの浮遊感がすべてなんであって、犯人が割れた後はたとえその犯人の造形が上手かろうとショボかろうとネタが割れること自体がその最大の楽しみを殺してしまう。だとすれば、ネタが割れるまでがいかに楽しめたかで考えても良いんではないか、と。

そこまでを考える限りは、夫の喪失、娘までいなくなることへの恐れ、機内の人間模様、飛行機という安全に対して最大限ナーバスになる密室の醸成など、押えどころ、中盤までの演出は抜かりがなく、そして、個人的な感情に最大限の抑制を求められる空間でなおも個人的感情を爆発させる役どころに必要な存在感と演技力たるややはり素晴らしいものがあった。

ただ、それが高じて、物語を展開させるに必然のヒステリーは、いつしか歯止めを失い、便所から脱走するわ、人様の高級車のフロントガラスを叩き割るわ、機械室忍び込んで電気系統のコードを引っこ抜いて他の乗客を恐怖のどん底に叩き込むわ、犯人を消火器で殴りつけるわ、犯人の女に閃光のようなストレートを叩き込むわ、挙句の果てに飛行機吹っ飛ばすわ、ひどすぎる、あんまりだ、もっとやれ〜 とか喜んでいる場合ではない。

良きにつけ悪しきにつけ3点が妥当な映画だ。それでも、主役の女優さんの完熟してともすれば落っこちかける手前の輝きが麗しすぎ、その威光からか、私のつけた三点もどことなく緑がオレンジがかって、形も4みたいに見えるようである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (10 人)ALOHA[*] [*] ebi ぐるぐる[*] 草月 きわ プロキオン14[*] ドド[*] トシ[*] スパルタのキツネ[*]

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