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[コメント] レディ・イン・ザ・ウォーター(2006/米)

いくら子供向けの御伽噺と断られたって世迷言もいいところなんだが、名も無き普通の、普通だがちょっと変な人々の御伽噺のごとき連帯というか、輪というか、和というか、それには作家の美徳を感じる。ただ、或いはこれ、大人の絵本なのかも。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







荒唐無稽にも、自分の部屋に美少女が降って湧くなんて、日本の深夜アニメみたいな設定だ。しかも少女は終始ワイシャツ一枚で、傷を映すという免罪符の元(いや、足だけ傷つくなんて免罪符になっていないのだが……)執拗なまでに素足が映され、その内、ワイシャツもずぶ濡れになるという……

ところがオッサンは妻子を殺された過去を持っていたのだ。子供がもし娘でもし生きていたなら、ちょうどストーリーのようだったかも知れない。なるほど陽根できぬわけだ。あまつさえ父親のごとく振る舞い、娘を嫁がせるがごとく、少女を巣立たせねばならぬ。妻から遠ざかった中年の身の上なれば、渇望もあろう。だが、許されるのは、不意に少女の方から触れてくる際のささやかな温もりのみだ。しかし男は男である事を頑なに押し殺し、父親として粛々と彼女を見送るお膳立てに勤める。

そして彼女が飛び立つ瞬間のカット。涙が溢れた折の滲んだ視界のような、水面下からのアングルとカット――尽くせば再び遠ざかる温もり……男はつらいよ。

(評価:★3)

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