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[コメント] Helpless(1996/日)

誠実に純粋な映像表現を目指しているのは理解するが、いかがわしさ、うそ臭さの中にこそ、映画のリアル、人間のリアルがあることを認める気はないのだろうか?
kiona

 映画自体を見ても何がやりたいのかよくわからず、著書やインタビューを拝見して、ますます理解に苦しんだのは大学生のころ。あさま山荘事件の暗喩が云々とあったのが、この映画のことだったかはわからない。H・E・L・P・L・E・S・Sに関する妙な当て字を見た気もするのだが、本気だったのかどうかもわからない。とにかく、金払って観た受けての自由を拘束するような内容で辟易したものだ。著書を読ませないと映画が完結しないのか、と。あるいは、流行りものを筆頭とする他者の作品に対する酷評の勢いも凄まじかった。酷評された中には、自分が楽しんだ作品も多くあった。そう、スピルバーグの『A.I.』も酷評されていたのだが、『A.I.』はロボットへの愛情が感じられても、人間への愛情が感じられない映画だった。同じように『Helpless』も映像やテーマへの愛情ばかりで、人間への愛情が感じられないように思えた。

 衒学とは言わないが、明らかに理屈っぽい。理屈を捏ねられる人間が特権を持ちえた時代もあったが、短絡的なまでに感覚が先んじる現代にあってはいっそう万人受けが難しいだろう。あの90年代半ばに何を訴え、何を変えたかったのか、その成果はどうだったのか。現在の総括を読んでみたいところではある。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ゑぎ[*] Linus[*] エピキュリアン[*]

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