[コメント] コップランド(1997/米)
たぶんバイト感覚のデ・ニーロ、善人が似合わないレイ・リオッタ、漫画みたいなボス・キャラのカイテル、生きていたのかパトリック。あらゆる豚骨スープを混ぜたような面々の中で奮闘するスタローン。
スタローンも好きだが、デ・ニーロも相当好きだったわたくしは、スタローンの俳優としての技量がデ・ニーロより上だなんて言うことはできない。演技にかけては、両者の間には歴然とした階級差がある。リングを共にする運命はないと考えていた。ところが実現した。笑うかもしれないが、俺は思った。この映画のスタローンは、演技という名のリングに上がったロッキーだったのだと。
ただし相手は、アポロのように洒落の通じる相手ではない。スーパーヘビー級の化け物。裸にされたらその力の差は歴然。しかしスタローンは戦った。デ・ニーロが同じリングに上がってくれた。そのことがこの映画のスタローンにあの演技をもたらした、それだけは明らかだ。
この映画に関するインタビューを少しだけ覚えている。スタローンはデ・ニーロがいかに真剣に自分を指南してくれたか、そればかりを熱心に語っていた。そして、確かこんなようなことを言っていた。(キネマ旬報だったと思う)
「初めて彼に会った時は、口もきいてくれなかった。デ・パルマに慰められたよ。普通の人間が彼に口をきいてもらうまでには7年かかるんだって。まさにそのとおりになってしまったよ」
スタローンは一見自信家のようで、その実自分を過大評価しないし、いつでも有能な人間に憧れている。その情熱だけは誰にも劣らない、言ってみれば偉大なる凡人なのだ。その凡人の情熱に稀代の天才が答えた、その一瞬のキラメキを見落とすな!
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