特撮シーンに妙な違和感を覚えた。何だろうと思ったら、メカゴジラの立ち位置だった。彼、チタノザウルスを前線に立てて、自分はひたすら後方支援に徹していた。異邦人とメカゴジラの代わりにチタノザウルスが、そして邦人の代わりにゴジラが憎しみあっていた。何故、彼らは戦わねばならない？　理由なんか持っちゃいない。後ろに戦わせようとする奴らがいるだけ。

　もう逢うまいと考えていたであろう本多猪四郎は、何を想い、最後のメガホンを取ったのか。折も折、時代の情勢は真っ向からの向かい風。ブームとその衰退を経て否応なく分裂した怪獣観の中、ぼろぼろに憔悴したゴジラと肩を組んでも、負け戦は目に見えているのに。

　本多ゴジラ…闘争を強いられるゴジラも変わらない。報われぬ悲恋も変わらない。傷つけあう世界も変わらない。変わってしまったのは、きっと、それを受け止める僕達。 全ては、その後に生まれた者の身勝手な推測でしかないけれども。