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[コメント] レベッカ(1940/米)

シンデレラ童話が語らなかったシンデレラの後日談。解りやすさとコテコテぶりがいまだ美徳のままに見えるのにはわけがある。
kiona

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ヒッチコックが今も演出家の模範教師たりえているのは、どこを強調したいのか、どこを一番表現したいのかがハッキリしており、優れたバランス感覚をもって、解りやすい部分はとことん解りやすくした点だ。

 これだって、出だしは本当にシンデレラそのままのこてこてぶり。それは欠点ではなく、観客の共通認識を巧みに利用してのこと。観る者はあっという間に、シンデレラとシンクロしてしまうのだ。そうやって観客をまんまと誘っておいて、いざこっちが入っていけば、そこはヒッチコックの閉塞的な独壇場。しかも、こっちが引きずっているシンデレラへの感情移入を、逆手にとって弄んでくる。そつなく進行させる物語に、次第に人間のどろどろした部分をからませ、最後にはまっさらなシンデレラを成長した大人の色に染めてしまうのだから舌を巻く。

 そういった細かい演出の一つ一つは、優れた古典の古臭く見える部分が必ずしも欠点ではないことを証明している。

(評価:★4)

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