コメンテータ
ランキング
HELP

水那岐さんのコメント: 更新順

★4岬の兄妹(2018/日)岬の見える街に兄妹は鎖で繋がれている。おそらくは性愛以上の愛情を向け合う身だとは判っているのに、危うげな印象を抱くのは兄妹は恋を知らないからだ。愛情をもって接する筈の兄の非倫理的な行動は、ふたりの未熟さに裏打ちされている。だからこそ破滅に追い詰められてののっぴきならない行動は、もっと重要なスマホの音に無化されるのだ。[投票]
★2グリーンブック(2018/米)決してどん底に落ちたことのない「あなた」が、どん底にいる誰かさんを見てしまったことを後悔し、それを忘れて明日の寝覚めを心地よくするために役立つ映画だ、と言っていいんじゃないだろうか。 [review][投票(2)]
★3家族のレシピ(2017/シンガポール=日=仏)家族再生を描く感動的映画などといったふれこみは新鮮味もなく凡庸だが、その切っ掛けとなった数々の料理の接写はパニックを起こしそうに刺激的だ。むしろこの映画の主役はラーメンであり、バクテーでありシンガポール料理だろう。冷静に見れば、斎藤工の脚本を感じさせないナチュラルな演技は充分に味わえる。少年のようにしか見えない彼の狡猾な役作りが絶品だ。[投票(1)]
★3なっちゃんはまだ新宿(2017/日)「妄想の女」がどんどん肥大し、女のなかで自惚れ鏡と化してゆくプロセス。とりあえず監督・首藤凜は、ヒロインを愛するあまりに自己投影に狂いはじめている。主役を演じず裏方として成功をともに祝ってきた彼の欲望の具現化だ。面白くはあるが私小説を性別を越えて描写させるのはグロテスクに過ぎ、今後の彼の行く先を危惧させる。[投票]
★4デッドエンドの思い出(2018/韓国=日)日韓関係の冷え切ったこの幾年かの両国で、無辜の人々が悪気もないのに反目しあっているという情報操作のなか、これはそれぞれの国の暖かみを信じさせる物語だ。それこそが情報操作だという茶々に目をくれなければ、日韓人の入り乱れるコミュニティの団欒は感涙を誘う。名古屋という中途半端な意味合いの街だから、性善説を笑えない説得力を内包できるといってもいいように思えるのだ。[投票]
★5ビール・ストリートの恋人たち(2018/米)奔流の如くこちらに押し寄せる劇半音楽の中央に立ち、正面を射抜くように容赦ない視線を放つアフリカ系米人たちの何と存在感を誇り、なおも貪欲な意志を露わにして見せることだろうか。ここにいるのはファンキーな道化役でも、主人公に助言を与える相談役でもない。製作者サイドが望む紛れもない主役だ。 [review][投票(1)]
★2翔んで埼玉(2018/日)魔夜峰央漫画の魅力は、現実社会よりの過度の遊離にあるといって間違いない。しかるにこの映画の外界への過密着は、原作に対し滑稽なほどのベクトルの差があることを物語る。生臭さ甚だしい。 [review][投票]
★5映画 めんたいぴりり(2018/日)ベタ極まり果てた通俗人情喜劇だが、そんなコトをつついて文章を汚しても詮無い。この年齢を迎えての富田靖子の輝きようは全き奇跡だ。デビュー当時からコメディエンヌの素養は明らかではあったが、漫画的な演技術をなんと嫌味なく発露する女優だろう、彼女は!このヒトに旬などない。人生の春から冬まで、今後年齢を重ねても彼女は間違いなく輝いている。[投票(1)]
★3パプーシャの黒い瞳(2013/ポーランド)断章の羅列であり、目立った物語というものがあるわけではないし、現代を指弾するエナジーに満ちていることもない、ネガティヴでかわりのない日々の雑記。それに目をつぶればモノクロの美しさに酔わせてくれる画面の透き通った静謐さは絶品だし、娘時代のパプーシャを演ずるパロマ・ミルガの容貌を、ボッティチェリの絵の美神のように映す映画力も凄まじいものがある。[投票]
★3半世界(2019/日)40代、50代の声をきき、父親の享年を超えて親父となった男が慄然とするのは、自分が父親とは似ても似つかないちっぽけな大人になっている事実に向き合うことだ。世界ではなく世間としか向き合ってこなかった自分が、いつしか息子にすら追い抜かれていないかとの恐怖は、あるいは人生の終幕にしか拭えないものなのか。戦慄は稲垣なればこそ倍加する。 [review][投票(1)]
★4あかぼし(2012/日)人間の強さと弱さについての平易な考察と見た。あくまでも弱く、誘いにのって新たな世界に身を投じたものの、図らずも更なる弱さを露呈し転落してゆく母(朴[王路]美)。その彼女を護ることでしたたかな人間に変わってゆく息子(亜蓮)の姿は、はかなくも悲壮だ。物語のはらむ「俗っぽい構造」は、観客から見れば自滅でしかない終幕にただよう、むしろ明るささえ感じさせる意思表示に変じて心を打つ。 [review][投票]
★4ハートビート(2016/米=ルーマニア)脚本は中学生が書いたような稚拙なものだし、主演のふたりも大根を極める演技ぶりだが、よもやそんなことをあげつらう観客はおるまい。ヴァイオリンの水を得た演奏とコンテンポラリーダンスの充実を見れば、この映画が与えてくれる感興のすべては理解できる。セクシーな演奏者ガリツィンのツンデレぶりは、見事に演技経験の浅さが生み出したものと考えればよい。ヒロインをサポートするミズノの達者ぶりも嬉しい。[投票]
★2愛を語れば変態ですか(2015/日)監督の出自ゆえ、作品が演劇色満開なのは予想通りである。だがお手の物と思われる一人ひとりの書き分けが、予想よりうまくいっていないのに引っかかった。人格のバリエーションが乏しく、予想外の行動や発言が出てこないのだ。その上で黒川芽以のブチキレた「いい女」描写も成功しているとは言えない。ブンガク青年の青臭さにとどまった。[投票]
★3planetarian〜星の人〜(2016/日)萌えアニメっぽいデカ目の煌めくキャラが鼻につくが、物語は嫌味がなく愛すべき童話だ。それだけにもう少しタイトに展開を絞ってほしかった。重要人物の別れはもっと粋に締めて涙を誘うべきだし、描かないほうがいいシーンだって確実に存在するのだ。もし叙述を増やすなら星空の素晴らしさの描写だろう。物語の根幹を成す男の生きる指針となるものなのだから。[投票]
★4ちょっとまて野球部!(2017/日)須賀健太の馬鹿生徒を演ずる能力の開花に涙が溢れそうだ。いい成長じゃないか。BL漫画家の原作に導かれたイケメンでお洒落な友人たちには頭が痛くなるが、その中心にある下品でリアルなアホガキのせいで全ては許容される。このままでいい。須賀には右に出る者なきこの路線を突っ走ってもらいたい。彼のみにプラス3点。[投票]
★2天下の快男児 万年太郎(1960/日)剛毅朴訥だが行動力に富む稀代の快男児のはずが、まず女の唇を奪ったり敵に鉄拳を見舞っておいて、あとでその軽率さにグジグジと悩むどうにも困った男が主人公である。高倉健がすでに後年の不器用キャラを思わせる演技をはじめているので、こんな醜態を晒すことになったのだ。思わず見ている側が赤面し、居たたまれない気分にさせられてしまう。[投票]
★2サスペリア(2019/伊=米)無内容ホラーのバックボーンを補強してルカ・グァダニーノ監督が底力を見せつける、との世評に浮足立って行ったのだが、現代ドイツと中世欧州史のマニアに混乱を押しつけてみせる不親切作品だった。 [review][投票(1)]
★4夜明け(2018/日)過去に苛まれる自棄的な青年に対し、一切過去を問わず自らの身ひとつをもって彼を包み込もうとする工場長の「包容力」はいかにも頼もしい。だがそれが、酷い馴れ合いの延長線上にあるものならどうか。青年は朴訥な若者の役を演じながら、工場長の内心を透視し続ける。 [review][投票(1)]
★1アラーニェの虫籠(2018/日)ビスク・ドールめいた綺麗な男女による地獄めぐりの見世物。ここに観客と感興を分かち合える人間の生活臭はあるようで全くなく、出来事を解き明かすキーワードは見せかけのコケ脅しだ。結局、坂本サクという人物は悪夢のような効果の描写に長けているだけで、作品の演出などという行為に相応しい才能は持ち合わせてなどいないのだ。70分は退屈極まりなかった。[投票]
★2ランナウェイ・ブルース(2012/米)逃亡する兄弟を癒す甘い夢のアニメと、襲い来る無慈悲な現実…という二極構造のはずが、これでは夢に劣らず現実も甘すぎる。かりにも少年を殺した兄を追う権力も、弟が幻滅を余儀なくされた恋人の陥った悲劇もなまぬるいことこの上ない。もっと苦悩する若者たちではなぜいけないのか。州に分かたれた合衆国の盲点をついた逃亡劇にも調子の良さばかりが感じられて腹立たしい。[投票]