[コメント] 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL(2002/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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これを書いている時点では、もう新番組『仮面ライダー555』が始まっている。そんな時期にやっと300円のレンタルでこれを観られたのも、コメンテーターの皆さんがこぞってこの映画に低い点数をつけてくれたお陰と密かに感謝している。そのために、今になって初めて満足をもって『龍騎』にさよならする気になったということだ。
テレビでは主人公・須賀貴匡は最後の望みを叶えられないまま、それを人任せにして死んでいった。主人公とは名ばかり、みなの戦いを止めることさえできなかった。だがこの映画では違う。主人公はおのれの影の半身と戦い、それを破る。その姿には今までの彼には見られなかった力強ささえ感じる。テレビではライバル・松田悟志のみが生き残ったがゆえに、現実世界ではないどこかの夢の世界で生きているみんなを描いてお茶を濁した。それに較べ、映画の主人公のなんと輝いていることだろう。
また、ゲストの加藤夏希も光ってみえた。こういう映画かスペシャルにしか使えない設定の彼女ではあったが、作品をひとときでも明るいものにしてくれた。人間の汚さを死んでゆくライダーたちの姿のなかに描く原作が凄惨に過ぎたゆえに、一途で純情なキャラクターはそこにいるだけでほっとした気分にしてくれる。ゾルダや王蛇のファンには肩透かしであったろうが、かといってテレビ版も時間をかけながらさほど変わらない結末だったのだから、これは仕方なかろう。
ただひとつの疑問は、雲霞のごとく湧き出る羽化する昆虫のようなモンスターだが、あれは何だったのだろう?兄妹があんなものを書き殴りつづけたとも思えないのだが。
とにかく、だ。『鳥人戦隊ジェットマン』の頃から注目していた脚本の井上敏樹にして初めて、これだけのラストを用意し得たと言えよう。もっとも『龍騎』ではこれで燃え尽きてしまったようだが、まだ始まったばかりの『555』に期待することにする。
ほんとうは5点をつけたいのだが、物語の本当の終幕にこれを用意できなかったことで1点減点。
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