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[コメント] はだしのゲン ヒロシマのたたかい(1980/日)

シリーズ最後にして最悪の「はだしのゲン」。各エピソードはそれぞれ独立して分散し、それを結びつける太い柱などどこにも見当たらない。原爆への怒りは何処へ行ったのか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いきなりオープニングで、ゲンとコーラスガールズがスタジオで一緒に歌い踊る…何じゃこりゃ。この時から悪い予感がし始める。

帰ってきた兄たち。ガムをくれるアメリカ兵。ゲンらを騙して金を儲けようとするヤクザ。ヤクザを殺して姿を消す隆太。ゲンを慕う少女とその姉のパンパン。それらはやって来ては去ってゆく台風のようなもので、ゲンはその前で何事も成し得ずギャーギャー喚きウロウロするばかりである。

やっと繋がる物語が、ゲンの妹の病状が悪化し、死に至るエピソードだ。喧嘩相手のクソ森、PART−1で消えていた朴さんの協力でゲンは妹にやる薬代を手に入れる。だが、時すでに遅く妹は死んでしまう。ここで問題なのは彼女の死はメロドラマとしての死であり、ゲンはピカドンや米軍に向けて拳を振り上げたりしないところである。これまでの長すぎる伏線はどこへ行ったのか。「ヒロシマのたたかい」とは一体なんだったのか。

加えて言えば、ゲンを演じた子役はシリーズ中最低である。ギャグをやらせれば悪乗りしてダラダラ続けるし、叫ばせれば声が裏返って聞けたものではない。棒読み演技しかできず、年少の弟らを引っ張ってゆく貫禄もない。今までのストーリーでは、大人顔負けにゲンが物語を引っ張ってゆくダイナミズムがあったのだが、この映画では引きずり回されるばかりだ。

細かいことは言いたくもないのだが、下手なカメオ出演で子供だましをするくらいなら、時代考証くらいきちんとできた筈だ。長髪の兵隊にはひどく興を殺がれた。

(評価:★1)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)muffler&silencer[消音装置]

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