[コメント] 火火〈ひび〉(2004/日)
焼き物の修羅と化し、我が子への愛情すらも表には見せずに情熱を信楽焼きに賭ける女の一代記であったなら、この映画の輝きは倍増したろう。だが、息子が死病に取り付かれたと判った途端、作品はお座なりな愛情物語に堕してしまう。
確かにおよそ世間の役に立たぬ自分の罪滅ぼしに、機会があれば骨髄バンクに登録できればと思っている。だが、それとこれとは別問題だ。
この作品の前半に見られた鬼気迫る緊張感は、ヒロイン田中裕子の早々の出世(自分は保守的な芸事の世界を打ち崩すヒロインの戦いをもっと見たかったのだ)とともに消え去ってしまい、あとは凡作邦画のパターンのひとつになってしまった。「こんな脚本、自分が褒められることしか考えておらん」田中の母ちゃんには、こう言って脚本を押し潰していただきたかった。
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