主人公は公道レースに参加はしたものの、いまいち乗り切れず、むしろ豆腐屋の親父のほうが息子のバトルを面白がっていたようだ。主人公はというと、鈴木との恋に浮き足立っていたように思われる。そこに鈴木の援助交際という事実が飛び込んでくる。

実際、スタッフはこれ以外に、主人公が公道レースに没頭するための理由を見つけ出せなかったのだろうか。鈴木杏には演技者として大成して欲しいし、場合によっては汚れ役も辞することのできない年齢であろう。だからといって、これでエンドマークではテンション下がりまくり必至だ。明らかにマイナスのベクトルに向けて、主人公はレースを選択している。これでは主人公を気持ちよく眺めていられない。(もし映画オリジナルの設定だったら、俺は脚本のフェリックス・チョンを金輪際信用しない！）

ただし、カーチェイス場面だけは日本では普通撮影できないレベルのものであり、充分楽しむことができた。俺は慎太郎都知事が大嫌いだが、映画制作に協力的な彼が、都内でこれだけのチェイスを撮らせるほど太っ腹だったら、彼を少しは見直すだろうに。