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[コメント] 銀色の髪のアギト(2005/日)

何だか独りよがりなメッセージが横溢した作品。「トゥーラ」なるヒロインを、例えば「アオイ」とか現実味が多少なりともある名前に変えてみると、その胡散臭さがよく判る。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







まずグチこぼさせて下さい。 最近のアニメって、どうしてこう髪の毛やヒゲをとっぱらってみるとおんなじ顔のキャラばかりになってしまう作品がウケるのかな。俺にはそのあたりの手抜き礼賛精神がよく判らない。手塚治虫の「マンガの描き方」で学んだ世代からすれば、それってプロの最低条件を満たしていない作品だと思えるのだけれど。 まあ、それはおいといて。

木々の存在はそれがいかに猛々しく、恐怖を誘うようなものであっても、否定してはならないものらしい。そのように植物を改造した科学者も愚かかもしれないが、その攻撃を止めようともせずヘイコラしてそのおこぼれに与かっている人々も誉められたものではないだろう。

そして、そのあたりのことについて深く知っているわけではなく、ただ自分の一目惚れした女の子を守りたいがために木々に体改造してもらうアギトも、どうにもお利口さんではないようだ。彼女は自分の意志で他の男に付いていっているのだぞ。その「トゥーラ」という国籍不明の名を持つ少女が(そのわりに東京都のどこかのような街角に友達と一緒にいるカットが入っている)、いやに簡単に住んでいた時代の再生を諦められるのかよく判らない。「トゥーラ」じゃなく「アオイ」って名前にしてみれば、あんな暮し辛そうな国で、思考内容不明の植物怪人と一緒に暮らす、っていうのがどんなにデンジャラスか理解できそうなものなんだが…。ケイタイやウォークマンに慣れきった女の子にとって、それを自分で棄てるのはよほどの決心が要ることだぞ。

まあ、この映画のようなテーマはどこの国でもファナティックな自然主義者には受け入れられやすい。だからこんな陳腐なテーマをGONZOは映画界殴りこみに選んだのだろう。だが、誰もが指摘するようにそれはジブリ映画でさんざやり尽くされた主題であり、なおかつ自分の歯で充分に噛み砕いていないから説得力はジブリに負けている。どうせ勝てないのなら、日本制作のアニメであることを大っぴらに表に出した作品にすべきじゃなかろうか?銀色の髪なんていう、自分より一回り世代が若い連中なら「スーパーサイヤ人」なんて茶化しそうなアイディアを持ってこなくても、さ。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)小紫 FreeSize[*] プロキオン14[*]

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