松雪泰子も、豊川悦司も、富司純子も蒼井優も、それぞれに胸に激しい思いを抱え、ウソ偽りなくぶつかってゆく。もちろん娯楽映画としてのスジをきちんと通しながらだが、ここまで妥協しあわないキャラクター造形は見事なものである。特に蒼井を勘当しながら彼女の熱意に考えを翻し、娘とセンターのために陰に陽に尽力する富司の母親はオットコ前（苦笑）だ。

東北弁も、もちろんダンスについても、下手な段階で手を打たない訓練の結果であることがはっきりと判り、高い評価に価する作品である。「いまどき頑張るなんてダサい」と思っている若者、それに若ぶったオトナには、ぜひ困難に正面からぶつかってゆく人々の姿を目に焼き付けてもらいたい。ここには凡百の青春映画が頑張っても追いつかないリアリズムとダイナミズムが確実に存在している。