コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] となり町戦争(2006/日)

小説を読んだときにも感じたのだけれど、これはただのお茶らけた厭戦映画だ。反戦映画と呼ぶべきロゴスもない。お役所仕事人の朴念仁ぶりを皮肉った作品としてなら、それなりに評価もできよう物だが。
水那岐

江口と原田(フケたなあ、原田知世も…)を除く登場人物の煮え切らないギャグの固まりみたいなカリカチュア的性格を見るにつけても、この監督の人物造形の中途半端さが嫌というほど臭ってくる。この監督にはリアリズムと戯画的描写の混在したこんな作品は身に余ったのではないだろうか。「となり町戦争」などというおよそリアリティを持たないアイディアを生かすには、それなりの腕がやっぱり必要だ。

こんなことなら、開き直って筒井康隆の『ベトナム観光公社』でも映画化したほうが多少古臭いにせよ、これに倍するインパクトを観客に与えられたのではないか。そして戦争と、行動のマニュアル化は決してイコールで結びつかないことも強調したいことの一つだ。

そして、少なくとも映画においては、戦争の全ての悪はセリフではなく映像で描かねば何の意味も持たない、ということを記しておきたい。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] sawa:38[*] 死ぬまでシネマ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。