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[コメント] さくらん(2007/日)

シロウト臭いカット割りの杜撰さに慣れはじめれば、そこは別天地。椎名林檎の大時代ロックに乗って、平成ならではの人体有害極彩色に彩られた大江戸つっぱり少女漫画が点火される。
水那岐

時代に流されるだけの苦界物語をサラリと脱ぎ捨てた、土屋アンナだからこそのスタイリッシュ芸者譚。

冒頭、連れて来られたばかりの子役の頃から憎憎しい口をきく性悪ガキだったきよ葉は、成長を重ねてもその反骨精神を忘れない。好いた男との恋に燃え、権威をふりかざす侍にはツバを吐き、しかもその美貌は当代一というのだからリアリズムなぞとは無縁の物語なのだが、そのシンプルなキャラクターがなんとも素晴らしい。

土屋もすっかり女優が板につき、さながら平成ギャルが江戸の世にタイムトリップしたような愉快さを醸し出す。無論、『SAYURI』など鼻で笑い飛ばせる正統派インチキ時代劇のプライドを誇示しつつ、だ。このポジティブさは稀有であり、自分は大いにこの大出鱈目ロマンスに感じ入るのである。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)tkcrows[*] Keita[*] 林田乃丞[*] くりす[*] ペペロンチーノ[*]

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