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[コメント] 吉祥天女(2006/日)

凡作製造機である及川中監督に今更何も期待しないが、若手女優実力派としては最近活躍が著しい鈴木杏の小夜子を確認すべく劇場に足を運んだ。結果はといえば、鈴木は頑張ってはいるが、彼女にも大きな越えられない壁があることを思い知らされる。彼女は江波杏子という地獄を見た女を前にしては世間知らずのお嬢さんだ。
水那岐

結局、ミスキャストはミスキャストでしかない。

もちろんアイドルではなく、実力で売ってゆくことを明らかにしている鈴木にしてみれば、演ずることのできない役柄は「あってはならない」筈だ。しかし原作の小夜子を知っているファンなら、十人が十人「鈴木は小夜子は演じられない」と言うだろう。冷静沈着な発言しかり、途中の不良たち相手の立ち回りしかりだ。

小夜子は少女にして鬼気迫る底冷たさを身に纏った少女であり、一方鈴木は健康で爽やかなお嬢さんだ。彼女は急ぎすぎてはいないか?セックスの匂いを漂わせることが子役時代との決別と誤解してはいないか。誰しも向き不向きというものはある。誰かさんの受け売りだが、多分栗山千明あたりに演じさせるなら得心のいくキャラクターを、彼女にはまだ任せるのは酷である。

たぶん、彼女の女優人生はこれからも続いてゆくだろう。「ミステリアスな少女」を演じられるのは今だけかもしれないが、「ミステリアスな女」にならこれからいくらでもチャレンジできるだろう。鈴木にはそれを目指して修練を積んでもらいたいものだ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)りかちゅ[*] 直人[*] きわ[*]

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