[コメント] ヘアスプレー(2007/米)
ヒップホップだ、ラップだと白人・黄色人が黒人のケツを追い回している現状はみっともなくて目を覆いたくなるばかりなのだけれど、この当時のブラックパワーがカッコ良かったのは本当だろう。ヒロインが魅せられたのは判る。で、おデブの女の子が黒人グループの先陣を切って「差別反対!」とデモる気持ちもよく判るのだ。
これはアメリカのグッド・オールド・カルチャーの映画だと言っていいのだろう。誰もが理解できるテーマ。なつかしのミュージック&ダンス。やっぱりこれは民族を越えて民衆を魅了するものだろう。ノスタルジーものと片付けるのは簡単だが、ここまで見事に見せてくれると、アメリカ史の一断面と見るほうが自然なように思われる。ニッキー・ブロンスキーは、民衆を導く自由の女神だ。体格はどうあれ、その行動で神々しくもキュートにも見えてくる。
まあ、実際可愛さに胸を射抜かれたのは、俺の場合親友のアマンダ・バインズなんだけどね。あと、憧れの男子たちは白黒問わず素敵だった。単に自分が’60年代ファッションに弱いだけなのかも知れないけれど。正直、これは前述のテーマなんか気にせず、最高にハッピーなミュージカルという側面から楽しむのが正解なのだろう。キャスト一同大いにエンジョイしながら演じているのが見てとれるし、バカと化して音楽に身をゆすりながらの鑑賞がベストだとはカタブツの俺にも判る。踊れる人は大いに踊りまくっちゃってくれたほうが製作意図には合っているだろう。さあ、徹底的に楽しみましょうや。
(*)蛇足
と書いたあと、アメリカのジェナという町で白人の同級生と喧嘩し、白人の子が一時的に気絶したことから24年の懲役という実刑をくらった黒人少年の存在を知った。彼は多くの裁判やり直し嘆願を受け釈放されたが、間もなく別件で逮捕され、いまだこの問題は続いているという。黒人の家庭のドアにKKK団の縛り首の宣告である首縄がかけられる悪質ないたずらが続いていることもあるらしく、まだ白人右派の心中に横たわる深い差別意識を知らされた。
朝鮮・中国人に対する差別を煽り立てるマスコミの強力化と、それに踊らされる日本人の増大を思うと、このエピソードはけして対岸の火事ではないことを痛感させられる。この物語はそれを語りたいがためのものではないとは判ってはいようと、お節介親爺として敢えて綴りました。
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