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[コメント] K-20 怪人二十面相・伝(2008/日)

ベタな泣かせドラマは、観客の顔も三度と知るべきだ。そのために裏の顔を持つべき男は、この場合主人公金城武だけで充分だ。そして『バットマン』への擦り寄りも感心しない…が、山崎貴の見事なVFXに1点加点。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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パロディにされるような小説は、もう作者一人だけの作品でないことは認めざるを得ない。しかし、そうだとしてもわざわざ多元宇宙の別の日本の首都に舞台をおき、そこまでして主人公のライバル・明智小五郎を貶める設定をでっち上げる、この作品の原作者の意図が見えないし、それの何処が面白いのかさっぱり理解できない。これは一時代を画したヒーローを創り上げた江戸川乱歩という巨人に対する、凡庸なジェラシーとしか見えないのだ。山崎の特殊効果が、何とか見せる画面を作っているにせよ、エンターテイメントの禁じ手を恥ずかしげもなく使って恥じない監督の厚顔には失望させられる。

仲村の明智はヒステリックに過ぎ、最初から成り上がり貴族の嫌味さ充分なのに対して、松の令嬢は最初から華族の出来うる善行の限りを極める健気な娘であり、監督の女性らしさの悪い意味での発露が垣間見える(明智のヒステリーは、実は極めて女性的なそれであり、「女々しさ」すら感じられる)。その図式が最初からあからさまなのはいただけない。どうせポプラ社の『少年探偵団シリーズ』を読んで育った世代をターゲットにしているようだから、子供騙しの悪役演技は中年には通用しないぞ!と一喝したいところなのだが…。

(付記)正直、乱歩パロディなら『イボ痔小五郎』のほうがまだマシだ、と思う俺はヘンでしょうか(『はくち小五郎』よりはマシかもしれないけど)。

(付記その2)小林少年には、やはり半ズボンを穿かせねばならない、と確信した。

(評価:★3)

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