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[コメント] 夢のまにまに(2008/日)

単純な反戦ノスタルジー映画とも取れるが、美術家を長年続けた木村威夫だけあって自然・人工の美についてのこだわりは尋常なものではない。宮沢りえが樹の幹の瘤をしげしげと眺めるときのエロティシズムは、思わず息を飲んでしまうほどに静かにして激しい。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







確かにこの作品、ウソはある。井上芳雄演ずる村上青年の老人趣味な性格描写、統合失調症のステロタイプな描写にはしらける。情動失禁的反戦描写もそうだ。

だが、画面の美しさは流石に餅は餅屋、と唸らされる。宮沢りえをここまで美しく撮った監督はいないであろう。そして素晴らしい風景描写。樹が、人々が演技せずして演技している一大スペクタクル描写に、邦画で対抗できる監督はまずいまい。これは90歳の年齢を考えても稀有なることだ。

最後に、長門裕之がいたわる有馬稲子には、否応なしに南田洋子のイメージがオーヴァーラップしてしまい、一種感慨深いものがあった。それは今だからこその感情ではあろうが。

(評価:★3)

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