紋切り型のキャラクターでしかない、ケンタやジュンという施設育ちの鬱屈した少年に囲まれて、唯一面白いのは安藤サクラ演じるヤリマンの少女カヨちゃんだが、彼女を途中放り出したまま、追いかけてきて合流するまでに大体のドラマが終わってしまっているのは致命的だ。「愛情に枯渇している」彼女の不在によって、この物語の厚みは確実に主人公たちによって平板で盛り上がりのないものに堕している。ロード･ムービーを目指すなら邪魔者の同行も不可欠ではないか？アメリカンニューシネマと較べるのもおこがましいと考える所以だ。

蛇足だが、「私たちの望むものは」といういにしえの楽曲の使用は自分には「卑怯な利用」にしか思えなかった。貧弱なテーマに無理矢理意味づけをする行為ではないか。暗いから支持できないのではなく、無内容さが嫌悪を掻きたてるのだ。