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[コメント] おかあさん(1952/日)

戦後の復興期の渦中にあって、平凡なクリーニング屋の家庭は流転し続けてゆく。その中で、一人不動の姿勢をとり、よろけながらも頑健に立ちはだかる女。田中絹代は昭和の母を全身を持って体現した。若き日の香川京子も愛らしい。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







昭和前期であれば、こうした家族の変転はさして珍しくなかったのかもしれない。長男の病死。次いで父の死。末娘は他家の養子となり、残された長女にもやがて嫁入りしてゆくことが匂わされる。

その中で変わらないのは母だけだ。心中で如何に娘が彼女を賛美しようと、報われることなき人生を懸命に生きる女。

強さと逞しさが胸をうつ。

(評価:★4)

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