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[コメント] ベルセルク 黄金時代篇III 降臨(2013/日)

諧謔の這い入る余地なき四角四面な本作映画を眺め、それでも馴染んでいるつもりで最後までも眺めれば、ここに来て一見さんの「絶望」お断りの札が高々と翻る。いや、原作ファンの「鬱展開必至」との噂に期待を膨らませ過ぎた俺の「怖いもの見たい」根性が悪いに相違ないのだが。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







登場人物にまとわりつく悲惨な運命が全開し、まさに「絶望」の30分間の羅列に観客の感情は持ってゆかれる…という噂。まあ、そんなことを期待しないおぼこのような感性でこの映画に臨んだなら、「気持ちの良い鬱状態」にひたるのも楽だったのだろう。

しかし、絵づらの素晴らしさとは裏腹に自分の感情はちっとも動かなかった。原作で描かれたのだろう「鷹の団」メンバーの人間性やよき個性を自分は知らない。ゆえにガッツ、せいぜいキャスカくらいの涙にしか感じ入れないのだ。正直を言えば、グリフィスの決意すら自分としては「とってつけた」ようにしか感じられない、こんなアホな観客もいることをスタッフには思いやっていただきたかった。

それでも言いたいのは、30分を「蝕」に費やすならもっと刺激的なシーンであってほしいということだ。実際、冗長である上にその後もいただけない。エンディングテーマなんてお布施にCDを買う気もおきないただのJポップだ。太く短く終わらせてほしかった。去年の話題作だった魔法少女アニメは、つまみ食いした限り自分の趣味ではなかったのだけれど、ヒロインの先輩があっけなく惨死してしまうくだりはこの作品の比ではないショッキングさではあった。絵の緻密さゆえではない、ということか。

つまりは、この映画シリーズは原作ファンへの豪華プレゼント以外の何物でもなかったのだろう。俺は最初から外枠にしかいなかった。そう思えば綺麗で迫力があって最高だった、としらじらしく言うことはできるけれど、腑に落ちない思いはいまだ燻ってはいるのは確かなのだった。

(評価:★2)

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