[コメント] マイ・ファニー・レディ(2014/米)
世知辛い現実社会のトレスではない、浮世離れした往年のスクリューボール・コメディ世界を称揚するボグダノヴィッチの楽天世界。ここへの寄り道も、文芸映画ファンにはやっぱり必要だ。裁かれる手前勝手な男たちへの攻撃も、なんて男にとっては痛快丸かじりな効果を与えてくれるものだろうか。
映画的オプティミズムにのっとって動くイモージェンのキュートさも嬉しいし、その夢見る心情を語るかのような「しんみりさせる」劇伴音楽もなんとも甘美だ。
篤志家のようでじつは下半身の赴くままに行動する演出家に対する、ポジティヴで明朗な女たちの後腐れのないビンタと、残る味わいも愛しい。一介の男ならば、ボグダノヴィッチの苦笑いを誰しも共有できるだろうし、古き良き時代にひととき浸る快美感は、身勝手な古い映画マニアならば許してほしい泣きどころを見事にくすぐる演出として機能した。
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