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[コメント] パターソン(2016/米)

映画自体はスローな演出ながら、じわじわと効く持ち味が魅力的ではある。例えばゴルシフテ・ファラハニが実に輝いてみえるほか、有色人俳優の輝きは特筆に値するものがあるのだが、図らずも永瀬正敏に一気に感興が冷める感覚を味わう。この物語が終わるために、ほんとうに彼は必要だったのか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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永瀬の扱いはよかった、と一緒に見に行った友人は語ったのだが、自分にとってはシラケポイントだと彼女に伝えるのは気が咎めた。でも、あれじゃ『永遠の僕たち』の幽霊加瀬亮と違わないでしょう。もっと最近で言えば、観たわけではないが『アメイジング・ジャーニー』の聖霊すみれとか。ハリウッドにとって東洋人はいまだ存在感のない異生物に過ぎないようだ。『ティファニーで朝食を』のニセ日本人から、状況はなんら変わってはいない。

しかし、それだけならいいのだ。無知よりは偏見のほうがずっとマシだ。問題はもっと別のところにある。

ジャームッシュにとって、永瀬は積極的に必要な仕掛けだったのか。主人公は住処のまわりをバスで走り続ける以外に生活を描かれることなき人物であり、他の登場人物も変わることはない。奥行きが深く描写される・されないの区別はあるにせよ。その物語が、イヌではあれ最初から主人公の「パターソン」世界に存在したコマに著しく変化をもたらされたとき、なんで救済者が外世界からもたらされねばならないのか。永瀬は旅人であり、同時に生きものの臭いのしない異生物だ。デウスエクスマキナに過ぎないこんなものにジャームッシュは依存せねば物語を終えられないのか。

自分は随分と興味を削がれた。人種的な問題ではなく、ステロタイプな日本人を演ずることで漂白された永瀬に、力技で主人公を救済する役を与えた映画作家の強引さにげっそりした。考えればもっと効果的なしめくくりは容易に見つかる気はする。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)プロキオン14[*]

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