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[コメント] 人生はシネマティック!(2016/英)

近年珍しいほどのウェル・メイド・プレイ映画。逆境に立ち向かう健気な女にもたらされる事件は、作為的に過ぎるほどに彼女にゆさぶりをかけては消え去ってゆく。音楽効果も雄弁すぎるドラマティックさでハリウッド黄金時代を彷彿とさせる出来栄えだ。今っぽさがあるといえば、ヒロインの受け皿の問題だろうか。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







亭主に尽くしても報われないヒロインが拾った、仕事仲間からの愛の花束。これがラブロマンス映画であるのなら、亭主とは別れたのちその愛を育み開花させたであろうが、この作品ではその夢は早々に叶ってしまったかと思えば、ヒロインの目の前で相手の男はあっさり帰らぬ人となってしまう。結局彼女はその後も恋には巡り会うことなくエンドタイトルを迎えるわけだが(レスビアンの女性と愛し合う、という選択肢もあったが、もちろんそれはこの舞台では時期尚早)、仕事を連れ合いに選ぶラストは現代らしい終幕なのだろう。もちろんそこに意外性はなく、これは現代女性向けのウェルメイドとなる、ということだろう。

ただ、こういう素直さも映画の美点には成り得る、ということを再認識させられた意味では誉めるべきだろう。べつに映画がつねにセンセーショナルである必要はない。「よかった」との胸の火照りとともに女性が帰路をたどれる映画もあっていいのだ。

(評価:★3)

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