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[コメント] ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019/米)

一般大衆の陳腐な行ったり来たりを無視すれば、アメリカの神話映画としての勇壮な物語は立派に完成されている。決して揶揄ではない。ゴジラ映画で馴染みの三怪獣はあるいは原作に匹敵・凌駕するともいえる演出に彩られており、前例のないギドラの肉体迎撃には思わずため息が洩れた。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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相変わらずゴツいばかりの、華のないゴジラの威容に目を瞑れば、三大飛翔怪獣のデザイン・演出両面の冴えまくった結果にはほんとうに感動を新たにしている。モスラの昆虫的デフォルメをむしろリアルに戻すことで描き得たディテール、ラドンの炎をまとい回転飛行する威容、そして魔王のごとく屹立するキングギドラの、高貴さをもったコウモリ型の翼に極められたデザインの妙には言葉もない。ある意味原作をも抜き去った美しさだ。

やっぱり、こういう美麗さを自己主張する「よそもん」キャラリメイクに込めた米国野郎どもの嫉妬は、こういう神がかりのデザインで知れる。それで見事に昇華することに成功しているワケだからグウの音も出ない。

そしてもう一つの評価点は設定の見事さだ。「ゴジラは人間の味方」という前回唖然としてしまった位置づけは、芹沢の「人間のペットがゴジラなのではない。我々が怪獣のペットなのだ」との譬えで完全リニューアルされる。人間など歯牙にもかけないゴジラなのだ。この倒錯は21世紀初頭までの屈折に次ぐ屈折でやっと出てきたものだろう。だから怪獣王として、ゴジラは人間に命名されるのではなく、ひれ伏す名だたる怪獣たちを足下に眺めることで自ら冠をかぶるのだ。この無垢な封建思想が怪獣の所以である。

そんなわけで、この映画は怪獣観が日本と食い違う欧米ならではの発露を楽しむ映画だろう。見るまでホントに舐めていたが、このスタッフならコング対ゴジラをどちらも泥をかぶることなく完結できるんじゃないかと、案外本気で思わされているのである。敢えて言うなら、絵的な意味だけでは『シン・ゴジラ』に逃げた日本特撮はもはや追い詰められ、追い抜かされようとしている。これを観ての日本特撮の奮起を望みたい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)死ぬまでシネマ[*] プロキオン14 kiona[*] Orpheus[*]

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