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[コメント] 人間の條件 第1部純愛篇・第2部激怒篇(1959/日)

昭和18年の満州に於いて、梶があそこまでの自由主義思想を持てたことはほとんど奇跡的なことである。その一点に限れば、この作品が『戦争と人間』よりリアリズムを貫いていない、という事実は覆い隠せないものではないか。
水那岐

その上で梶は何もやっていない。下手な考え休むに如かずで、上役にも部下にも捕虜たちにも口先で偉そうなことを言っているばかりであり、行動らしき行動はひとつも起こしていない。あとは妻とともに「いつまで経ったらふたりで幸福に暮らせるんだろう」と怯えているだけだ。中国人にも場当たり的な行動しかとってはいず、これでは比較的親しい連中に裏切られるのも、「日本鬼子」となじられるのも無理からぬことである。

中国人役には狡猾そうに見える人物が多々見受けられる。それも本人たちのプライドや生命が掛かっているのだから当然である。それを上回る指揮・行動能力が備わっていない限り、梶が尊敬を受けるどころか、「人間の条件」を認められることなど有り得よう筈もないではないか。

これは第2部までを観ての感想。のちは観てから描くことにする。

(評価:★3)

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