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[コメント] リトル・ブッダ(1993/英=仏)

欧米人にとって判りやすい「仏陀伝」と「ラマ教の珍しい習慣」のガイド。結局シアトルの子供がラマ僧の転生だとするのは、彼を物語の案内役たらしめる以上の意味はなかった。それが欧米人の理解を深めるより、却って誤解を深めているように感じられてならない。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大人の仏教徒でも理解しがたい「色即是空」の思想をそのまま噛み砕かないで英語にすること。仏陀の半生とラマ教の解説を交互に行なうことによって、「仏教=ラマ教」の図式をイメージづけること。ラマ僧の転生体が三人に分かたれるなどという、異例中の異例をわざわざ結末とすること。何よりジェシーとその両親にとって、今回の事件が単なる興味深い冒険の域を出なかったこと。

全てはベルトルッチが単なるエキゾティズムへの憧憬からこの映画を撮り、それから何も学ばずして恬として恥じないことを意味する。

ベルトルッチがいわゆる「アジア三部作」でやって見せたことは、「訳の判らないことを粉飾していかにも判ったように見せる」というテクニックだけだった。カメラの美しさや音楽(この映画の坂本龍一メロディは凡庸だったが)も、その上に塗りたくられた金粉だったに過ぎない。

(評価:★2)

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