[コメント] ガメラ対宇宙怪獣バイラス(1968/日)
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低予算作品であることが、子供にも理解できる悲惨さがここからは漂う。
バイラス人は「ガメラの弱点をつきとめる」と称して『ガメラ』『ガメラ対バルゴン』『ガメラ対ギャオス』の戦闘シーンを臆面もなく流し続ける。あまつさえ、彼らが仕掛けた脳波コントロール装置でガメラを自在に操っていたときも、街を破壊するフィルムは初代映画からの流用であった。故にか、この映画にはボーイスカウトとその関係者以外の人類はほとんど出てこない。
それだけでも手痛いところに、世界規模ののっぴきならない問題を無理矢理ねじ込んでしまうことから、妙にイビツな作品に仕上がってしまった。子供二人と世界人類を天秤にかけ、子供をとって異星人の降伏勧告を呑む国際連合は、あまりにも自助努力が足りなすぎる。セリフで説明する前に軍隊を出してくれ、とイライラする。まあ、今もなお餓死したり戦火の中に消えてゆく子供たちのことは言うだけ野暮かもしれないが…。
それでも、この程度の敵に頭を下げるのか、と悲しくなるほどバイラス人の程度は酷い。宇宙旅行できる文明を築いた先駆者はとうに滅び、今の彼らはそれを受け継いで無法の限りを尽くしていると観た。武器らしい武器も持たず、宇宙船が破壊された後はやけくそになって肉弾戦に出る。ここでにっくきガメラの腹をドリル頭で貫きかけるが、何故か痛がらないガメラの活躍によって哀れ最期を迎える…。
この映画からガメラの本格的な子供騙し路線は始まったようだが、それも大映のなりふり構わぬ観客サービスにも関わらぬ凋落を物語るようで、些かうら悲しい。
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