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[コメント] 害虫(2002/日)

悲劇ではなく「非劇」。劇にあらず。尋常でなく美しい少女を、自然な流れのままに不運に晒し続けるということ。…しかし、最後で劇は始まってしまう。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「があ〜〜〜〜〜ん!!」というようなオノマトペを入れたくなる場面が次からつぎへと幸子を襲う。小奇麗な外見から次々と男から声をかけられる。そのたびに何とか立ち直ってゆく幸子。それに絶叫が伴うことはない。そこから逃げ出すにしても、ただ流れるようにだけ汚濁を振り払ってきた幸子。

その彼女が、何故親友の言葉にだけ過敏な反応を示すのか未だに自分は判らないでいる。「かわいそう」というのは偽善か。「頑張れ」が頑張っているのに報われない人たちにとって禁句であるというのはよく聞く言葉であるが、この国の民主主義は随分と贅沢な悩みを抱えたヒトビトを生み出しているものだ。老人に「おじいさん」「おばあさん」と話し掛けると眉をひそめられる。そうか、そんなに若いままでいたいのか。

夏子の言葉に偽善はなかったと思う自分は、単純バカであることを誇りに思っている。はい、小学生の頃はいじめられている不細工な女子を救ってやりましたよ。その後、偽善的な子供からいじめられっ子に変わった過去はありますがね。でも、偽善が痛いと思ったことはなかった。疑うことを知らない子供だったからね。間違っても手を差し伸べてくれる人間の家に放火しようなどとは思わなかったよ。まあ、俺は善と偽善を見分けられるほど精神年齢が高くはなかったから…か。

幸子はもう「痛み」を与える側の人間に変わってしまった。だから同情することは当たらない。でも見知らぬ男の車に乗せられて行ってしまう彼女に自分は思い続けるよ、可哀想すぎるって。

(評価:★2)

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