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★3 | アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017/米) | 酷薄で蓮っ葉なヒロインを表わすのが、大股開きに腕組みポーズであり喫煙なのだろうが、その魅力に突っ切るメソッドがあるならばそれはハッタリと偽悪ではないか。創作上の無責任な作為に走るならば、環境に歪まされた怪物を描けばそれは大きな傑作への道かもしれない、ともいえるのだ。スキャンダラスさを実話の枠から解き放つ危険性は判るものの、俗悪な事実改変もまた映画だ。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | 喜劇 大安旅行(1968/日) | シリーズ第1作では、フランキーと伴淳は親子の関係。双方とも基本の演技を存分にこなせる身でドタバタを楽しげに演じている。この重層が喜劇の厚みを生み、スケベ親父の伴淳が機関士として仕事の鬼の顔を覗かせる。もちろんフランキーも情熱をもって仕事し、ときに妄想に身を委ねるのだ。この重みが物語の緊張を保持してくれたが、重すぎると判断されたのだろうか?今作後は見られなくなってゆくのが残念。 | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | 愛と死をみつめて(1964/日) | 美しいままで死んでゆけるならば、それはまだ幸福だろう。美しく快活な娘が、「化け物」呼ばわりされる仕打ちを受けるところにこの物語のやりきれなさはある。 [review] | 寒山拾得, りかちゅ, ゑぎ, 甘崎庵ほか6 名 | [投票(6)] |
★2 | 硫黄島からの手紙(2006/米) | 見よ、日の下に新しきものなどなし。ましてや異人の手で撮られたる我がヒノモトのいくさの映画になぞ、我らの心を揺らす何事があろうことや。 [review] | Myrath, minus-zero, TOMIMORI, たかひこほか21 名 | [投票(21)] |
★2 | 火垂るの墓(1988/日) | アニメーションで敢えて撮ることによって、主人公たちの純粋さは昇華され、その非社会性は美化され、美しさは神話となってこうした映画が好きな観客の魂に宿る。これこそアニメーションのもたらす最大の弊害であり、高畑勲に「貴方は何をアニメーションで撮りたいのか」を問いつめたくなる要因である。 [review] | ダリア, りかちゅ, は津美, stag-Bほか8 名 | [投票(8)] |
★4 | 愛を乞うひと(1998/日) | 不幸な時代のなかで語られる母子の凄惨な関係と、幸福な時代のなかで確かな信頼関係で結ばれた母子の旅。両者は父親を介して繋がっているように見えるが、実は母子家庭であること、父親の存在が希薄であることで結びついている。 [review] | けにろん, ナム太郎, ダリア | [投票(3)] |
★5 | トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(2015/米) | 例えば「現代に独裁者が甦ったら?」といった問いかけの映画があるが、「善意の団体が数に任せて個人を弾圧しはじめたら?」という問いのほうが今のわが国ならば怖ろしいだろう。ギャグでなく「アカ」「国賊」「売国奴」といったことばが普通人の語彙に入り込みはじめた日本ならば。 [review] | エイト, けにろん, 寒山拾得, セント | [投票(4)] |
★2 | 東京喰種 トーキョーグール(2017/日) | アクション映画として志が低すぎる事実は否めない。引退騒動のときの清水富美加が「不本意な仕事」とこの作品を挙げていたのは、断じて彼女のプロ意識のなさなどが言わしめたセリフでないことは確認できた。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★3 | 二十四時間の情事(1959/仏) | 観念的平和主義者たちが大好きな街「ヒロシマ」は此処にはない。今もなお活動し、恋愛までもがリアルに人を呑み込む街「広島」があるだけだ。そしてその都市が男を表わすように、女がそこで燃え尽きてしまった街「ヌベール」と女は同意義となり得る。ふたりはふたつの街の具現化である。 [review] | ぽんしゅう, TOMIMORI, ねこすけ, グラント・リー・バッファローほか9 名 | [投票(9)] |
★3 | 犬猿(2017/日) | 中途までは芸達者な4人の思いがけない勢いでフルスピードで盛り上がるのだが、喧嘩の果てにどうにもダレてしまい、「監督はほんとに考えて演出しているのか」が疑われる展開に直行するあたりで頭を傾げさせられる。 [review] | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | 彼女の人生は間違いじゃない(2017/日) | いまさら感動もないバスの窓外の風景を、重い沈黙とともに眺め続ける居たたまれない思い。人間が望まずして「役立たず」に貶められてゆく遣る瀬なさ。ここがどん詰まりではない希望の証しが提示される現在進行形の物語ではあるが、間違いじゃないと断言できる廣木隆一の揺るぎない信念にただ強さを感じ、眩しさを意識する。 | けにろん | [投票(1)] |
★4 | 深い河(1995/日) | 遠藤神学の集大成ともいえる一作。神はありとあらゆるところに遍在し、ただ「許し」という形のない救済を我々に施す。それは何の得になることでもない、ただ心の安らぎが与えられるということだ。…以下、原作小説は読んでいないので、映画からの印象のみを記します。 [review] | けにろん | [投票(1)] |
★4 | 赤い殺意(1964/日) | この女は列車である。蒸気機関車であり、通勤電車であり、市電である。 [review] | けにろん, の, モモ★ラッチ, ゑぎ | [投票(4)] |
★2 | 野火(2015/日) | 改めて思い起こされるのは、映画とは視覚芸術だということだ。志は高くとも接写ばかりのテクニックを伴わない画面と、21世紀にしてのこのチープな美術の有り方はやはり買えない。フィリピン近辺の毒々しくも雄渾な自然を前にして、安価なフェイクとしか受け取れない演劇的絵作りは非難されて然るべきものだろう。リリー・フランキーの嫌味なおっさんぶりは愉しいが、むしろ他が大根揃いなのだ。不協和音の劇伴も醜悪。 | disjunctive, 新町 華終 | [投票(2)] |
★4 | エンドレス・ポエトリー(2016/仏=チリ=日) | ホドロフスキーの朗らかな自己肯定の羅列。青年は青春の蹉跌に思い悩みつつも、実は他のほとんどの悩める人々に求められるこの世の導師だ。それが大真面目な描写であることは、この作品が青春コメディの色彩もはらみながら、実は二度ほどしかギャグと呼べる描写を含んでいないことからも知れる。母とステラ役を兼ねるフローレスの役割は意味深い。
[review] | ゑぎ, けにろん, 袋のうさぎ | [投票(3)] |
★4 | リアリティのダンス(2013/チリ=仏) | 極彩色チープ神話を描いてエロ・グロ・ナンセンスの花が咲き誇る様が好し。共産主義の旗手から思いっ切りぶれ、最後に帰ってくる場所までの鬼親父の思想的遍歴が描かれる後半も妙に寓話的で楽しく、昔気質の彼の矛盾が愛すべきキャラとなって提示される。それは踊りまくるアンチリアルであり、歌劇にも似た単純でコミカルな街の歴史にも重なる。 | ゑぎ, 3819695, けにろん | [投票(3)] |
★4 | あらしのよるに(2005/日) | ヤギ側声優陣のあまりの下手さが、原作者によって受け取り方を許されたもうひとつの可能性を思い起こさせる。 [review] | DSCH, 映画っていいね, ゆーこ and One thing | [投票(3)] |
★4 | ル・アーヴルの靴みがき(2011/フィンランド=仏=独) | 誰か別の監督が撮っていたなら、ご都合主義ここに極まれりと唾棄されたに違いないこの物語の締めくくりは、カウリスマキの限りなく優しい庶民の描写を伴って驚くべき整合性を纏うにまで至る。まして、異国よりその国を頼ってきた「異物」たる者への温かさは、ただの人情話で済ませられない、健康な体温を感じさせる特質だ。 | 寒山拾得, ゑぎ, chokobo, セント | [投票(4)] |
★3 | ブルーム・オブ・イエスタディ(2016/独=オーストリア) | ナチの暴虐を糾弾するその張本人が、おのれの性情に左右されるばかりのダメ人間であるところが新機軸といえるだろう。「罪なき者がまず石を投げよ」という教えは凡百の民衆には害毒であり、結果糾弾すべき巨悪はスルリと逃げ延びることとなる。馬鹿が言いたいことを言えるのが民主国家だ。そんな発想が浮かぶ意味では評価すべき作品。 [review] | プロキオン14 | [投票(1)] |
★2 | 自虐の詩(2007/日) | この堤幸彦監督は、阿部寛を充分に使いこなす術を知っている、と思ってみていたのだが、むしろ二枚目しか出来ない頃の不器用な阿部に剥けた皮を被せ直しているように見えた。中谷美紀の奮闘はいとおしいまでに徹底しているのだが…。 [review] | ダリア, 直人 | [投票(2)] |