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[コメント] 世にも怪奇な物語(1967/仏=伊)

本作は my favourite movies の1つで、ジェーン・フォンダに惚れ込んだり、テレンス・スタンプに自分を重ねてみたりした忘れがたい作品です。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







再鑑賞に当たり原作も読んでみた。

1.黒馬の哭く館・・・原題は映画、小説共「メッツェンゲルシュタイン」。原作ではメッツェンゲルシュタインは男(青年)で、対するウィルヘルムは老人という設定。はっきりと男と女とした映画の方が物語としては分かり易い。

ただ、小説では「煙の雲が大きな馬の形になった」と印象深いラストであり、これは映画でもやってほしかった。

2.影を殺した男・・・同上共に「ウィリアム ウィルソン」。素晴らしい脚色の見本のような作品。小説は主人公が育った寄宿学校の陰鬱さ、また心理描写を長々と描写するが、ホンは観客に分かり易いエピソードを創出したりラストへ収斂するようにカットバックを使ったりして緊迫感溢れる物語に仕上げた。アイディア、思想はポーのものだが物語はホンを書いた3人(ブーランジェ、ルイ・マル、ビドルウッド)のものだ。

3.悪魔の首飾り・・・映画は「トミー・ダビット(主人公名) from “Don't wager your head to the Devil”」。小説は「Don't bet the Devil your head」。共に(悪魔に首を賭けるな)の意。原題に合っていない邦題だが、これは「賭ける」と「掛ける」を間違ったのか?或いはギャグかも?

小説は「悪魔に首を賭けてもいい」と言うのが口癖の軽薄な主人公のちょっとコミカルな物語であり、青年の苦悩、心の葛藤を映した映画版とは違う(ラストのみ同じ)。これはもうポーではなくフェリーニそのものだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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