コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] マイ・バック・ページ(2011/日)

この物語はノンフィクションだというのだが、ラストシーンが実に嘘っぽく思われたので、原作を読んでみた。そして分かったこと、思ったこと。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







そして分かったこと、思ったこと。

1、原作は当然ながら現実の色んな人の関係、絡みがあるので、本人(川本三郎氏)の想像の部分はなく、すべて経験したこと、自分の考えしか書かれていない。

2、が、映画は片桐(梅山)の学生時代とかアジトとか襲撃の様子等も、又警察内の尋問の様子も描いている。→あくまで物語として作っている。

3、映画(脚本)は原作にあるキーとなる場面や、セリフを上手く取り込み繋いでいる。この脚本は(based onではあるが)1つの物語を構築した労作と言える。

4、ラストシーンは、もちろん原作にはなかった。

以上を踏まえて映画のラストを再び見ると、1つの物語のラストシーンとしては良く出来ている―あぁこれで終わりだなぁと思わせる。(ペペロンチーノさんのコメントは卓見だろう。)

ところで原作を読んで気になったことが1つある。それは川本さんが最後に、この事件はまた書くかもしれないとほのめかしている事だ。これはどういうことだろう?本人はこの事案を自分の中で消化しきれていないのか、‘総括’が出来ていないというのか。

しかし立ち止まって考えてみて、更に失礼を承知で言うと、彼は本当は心の中では総括出来ているのではないかと思った。精一杯頑張った若い頃の自分を大切にしたいが為、何もしないでそっと心の中にそのままにして置いているのではないだろうか。

そんな気がする。

そして脚本家(向井康介)は、川本氏へのメッセージとして、もういいんじゃないですか、こんな総括はどうでしょうかという意味で、あんなラストを用意した、付け足したのではないか、と思う。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)ロープブレーク[*] ぽんしゅう[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。