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[コメント] 半落ち(2004/日)

欲張りすぎ。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







(原作未読です)

アルツハイマーも、骨髄移植も、それぞれに大変深刻な問題であって、これまでにも様々なメディアで取り上げられ、それを描いた優れた作品も数多世に出ている。本作は、その二つの重大な医療問題を両方盛り込んだ意欲作・・・なのかもしれないが、結局のところ整理しきれず、「二兎を追うもの・・・」という表現がまさにピッタリくるような代物が出来上がってしまった感が拭えない。主人公がどうしてあのような行動をとったのか、わかるようでわからず、どうも腹に落ちてこない。

しかも前半部分は警察と検察の馴れ合いによる組織的隠蔽が話の中心になっており「おいおい、こんな映画なのかよ」とハラハラしながら観ていたが、中盤以降そのあたりの過程はまるで無かったかのようにメインストーリーから捨象されてしまっている。こんなことに時間をかけるくらいなら、鶴田真由田辺誠一 が不倫関係にあったり、伊原剛志國村隼が司法修習の同期生だったといった、殆どストーリーに絡んでこない思わせぶりな設定をもっと掘り下げるべきではなかったのか。

井川比佐志奥貫薫のシーンは迫力があったが、それが結局、若き裁判官・吉岡秀隆が執行猶予の付かない厳しい判決を下すことになるという点でのストーリーへの絡み方しかしないのであれば、やはり物足りなさが残る。

さらに(文句ばかりでスミマセン)変だなと思う点を挙げると・・・

・終盤の法廷シーンになってから、伊原剛志演じる検察官が検事としての役割を果たしていないように見える。最後の被告人質問で、妻の日記を持ち出して朗読していたが、検察の立場でそんなことする意味がさっぱりわからない。対立すべき弁護側と検察側が同じような質問を分担しているのは司法制度を殆ど無視しているのでは、と言いたくなる。

・骨髄移植の患者とドナーは名乗りあってはいけないというルールを無視して柴田恭兵演じる刑事がラーメン屋の青年を連れてくる。気持ちはわかるが、何の葛藤も無く無批判にこんなシーンを入れ込むのはどうかと思う。

一週間前に観た『ミスティック・リバー』と比べると(比べることに意味は無いが、たまたま公開が重なったので・・・)相当出来の悪い映画だと思うのだが、劇場は年配者を中心に満員、幕が下りた瞬間拍手するじいさんや目頭を押さえるおばちゃんも続出。一般的にはけっこう訴求力あるのだろうか。

(評価:★2)

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