が、タイトル明けからは俄然よくなる。対峙する両陣営を一望するショットや、騎乗での移動シーンなどがとてもよく撮られている。ラストの決闘シーンも突如雪景色になるあたりは娯楽活劇として極めて正しい演出だと思う。

キャラクタでは伊勢谷友介がとてもよい。（何故か終始清水ミチコに見えてしまって仕方無かったのだが）桃井かおりも悪くない。背後から犯される木村佳乃が窓越しに家族を見るシーンも非常に煽情的。普段あまり性的な雰囲気を感じさせない木村をキャスティングしたことで、見てはいけないものを見ている気分にならされる。

全体に面白い映画だとは思うが、「スキヤキウエスタン」と銘打つほどのイノベーションは感じない。全体構図が黒澤『用心棒』の借景だということもあるが、手法がタランティーノ＝ロドリゲスの物真似を抜け切れないという点が致命的なのだと思う（出演してるくらいなのだから本人公認なのは確かなんだろうけど）。