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[コメント] ブラインドネス(2008/カナダ=ブラジル=日)

みるみる汚物にまみれていく収容所の様子が凄まじい。人間の尊厳が地に堕ちる光景を容赦なく描き、それが存分に映像として表現されている。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「第三病室」に女性たちが向ったくだりは、直視しかねる気分の悪さを醸す。たった一人すべてを目にしてきたジュリアン・ムーアは餓えた略奪者たちの手を逃れ、階段に座り込むが、力尽きた人間の死体に犬たちが食いつく様子を横目で見ながらも、もはや感情を昂ぶらせる気力すら起こらない。そんな、露悪的とすら思える厳しい描写の一方、ラジオから流れる音楽に心和ませたり、突然の驟雨にはしゃいだりという、生きる力を注ぐ場面を潜り込ませる匙加減が絶妙。

伊勢谷の目にカップに注がれたコーヒーが映る、唐突な歓喜の訪れには観ているこちらも背筋がぞくぞくする感動を憶えた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)IN4MATION[*] ペパーミント シーチキン[*]

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