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[コメント] ミシシッピー・バーニング(1988/米)

「南部では、人種差別は聖書にも謳われていると教えられる」
緑雨

白人にとっては人種隔離こそ安定的な生活を送ることのできる基盤であって、そこにまったく疑いをもっていない南部の人々。KKKのような過激な人間だけでなく、ごく普通の一般民衆にもその意識が完全に行き透っている。時折挟まれるマスコミのインタビューに、一般民衆が答える内容からそのことがよくわかる。そして、そのことは小さい子供の頃から所与のものとして教育されるという。

だから一般の白人にとって公民権運動なんてのは穏やかな生活を脅かす害毒以外の何者でもないということなんだろう。こういうのを観るにつけ、日本においても、もし今後難民や移民が増えていった場合全く同じ差別意識が世の中に蔓延するだろうと間違いなく思う。他人事ではない。というか、自分自身あの状況の中にいたら差別に対して勇気を持って戦えるかどうか・・・そんなことを考えさせられて複雑な気持ちになる。

映画では、そのような南部の病理(差別だけでなく、例えば女性は学校を卒業したら家庭に入り一生閉鎖的な生活を続けるしかないことなども含めて)を知り尽くしているハックマンと、そのような事情を考慮せず正義感に任せてバカ正直に事に当たるデフォーの衝突がポイントになるわけだけど、そこらへんの描き方がイマイチ弱く、中途半端な印象を受ける。ちょっとした捜査の手法の違いくらいにしか見えず、あんまり衝突してるように見えないのが残念。

(評価:★3)

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