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[コメント] サンダカン八番娼館 望郷(1974/日)

勿論田中絹代は素晴らしいのだが、これは高橋洋子あっての映画と言えるのではないか。初めて田中健を招き入れるシーンにおける、純朴さと色香!
緑雨

サブタイトルには『望郷』とあるが、これはむしろ「喪失」の物語であろう。絹代と高橋の演技の志向は全く異なるが、その哀切さにおいてリンクしている。栗原小巻は困ってしまうほどの大根演技だが、絹代・高橋が表現する切実さとの対比で案外効果を生んでたりして。

演出は総じて野暮ったいが、サンダカンの娼館に日本軍の水兵が押し寄せるモブシーンの異様な活気だとか、現代絹代が暮らす集落の閉鎖的な嫌らしさの描出あたりは悪くない。高橋が初めて客を取ったシーンで、マレー人の首から下げた鍵が高橋の顔をジャラジャラと撫でる演出はギリギリ効いているが、浴槽で嗚咽するシーンはやややり過ぎに感じた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)寒山拾得[*] ぽんしゅう[*] ナム太郎[*] けにろん[*]

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