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[コメント] 北北西に進路を取れ(1959/米)

オークション会場のシーンが大好き。ケイリー・グラントの人を食った立ち回りが楽しくって仕方がない。
緑雨

後の『007』シリーズに多大な影響を与えたと言われているが、ヒッチコック作品の中でも最もエンタメ性が高い。いつも通りサスペンスの面でも一級品なのだが、そこに遊び心が満載なのが楽しい。

巻き込まれサスペンスと言われるが、この作品の巻き込まれ方の唐突さは尋常ではない。しかも、敵方と全く噛み合わない会話、酩酊ドライブ、タウンゼント邸再訪での狐に摘まれたかのような状況などケレン味たっぷりに疾走する。国連本部やラシュモア山のレストハウスでのサプライズな展開も絶品。

そして映画史に残るあの飛行機襲撃のシーン、荒唐無稽の極みというか、エンタメとは理屈ではないことを力業で教えてくれる。その直前、大平原のバス停でひとり待つグラントのところに車が近づいてきて、地元のおっちゃんが下車する。道路を挟んで無言で向かい合うふたり。このシュールでどこか滑稽で居心地の悪いショットがあるからこそ、飛行機のシーンが引き立つのだ。

それにしてもヒッチコック作品の登場人物って、どうして無言で立っているだけなのにあんなに不気味なんだろう。ジェームズ・メイスンの手下連中然り。メイスンの片腕役マーティン・ランドーの面構えが実に印象的。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)なつめ[*] けにろん[*]

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