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[コメント] チャップリンの 独裁者(1940/米)

たいへん採点のしづらい映画。
緑雨

シネスケに5年もいると、その間、映画の観方、評価の仕方というのも変わってくる。以前は、登場人物に感情移入できるかだとか、脚本や作り手の主義主張が納得できるかだとか、監督や出演者のキャリアに照らしてどうだとか、そういう観点で映画を評価していた。最近では、そういうことはあまりどうでもよくなって、背景と切り離して単に一個の”作品”として、観ている自分に何らかの感情なり強い印象を喚起する”力”を持っているかどうかで映画を評価するようになった。

そういう意味からすると、この映画は非常に評価しづらい映画だ。「あの時代にこれを作った」という人類史的意味と切り離して、この映画を観ることはなかなか難しい。無理矢理にコンテキストを排除して観ようとすれば、どうにも中途半端な映画と評せざるを得なくなる。パロディにしては笑えないし、ドラマとしては面白みに欠ける。が、かと言って、”力”のあるシーンが無いかというと、そんなことはない。多くの人が採り上げているが、ヒンケルが地球儀の風船を蹴り上げて舞うシーンの、幻想的でいてどこか気味が悪い感覚は絶品だし、プディングにコインを埋め込んで賭けをするシーンは他のチャップリン映画と同様素直に笑うことができる。

(評価:★3)

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