たくさんの人が死んだり傷つけられたりするのがとにかく痛ましく、なぜ子供なのかわからないし腹が立つし（純粋性の象徴だなんて言ったら張り倒す。純粋の何がそんなに偉いのか。人を詰問したりゲス野郎呼ばわりするほど偉いのか。）、黒田（石橋凌）はゲス野郎だとは思えないのであの家族をあんなにしてしまったことが許せない。わたしとわたしの関係なんて知らなくても「ただいま」と家に帰ると「おかえり」と迎えてくれる人がいてその人を抱きしめることができる、それだけで生きて何がいけないのか。それで結局は「勝手に生きろ」なんて乱暴過ぎる。ひっぱたいてやりたい。ただそれでも、（不思議なことに／そして理不尽なことではあるが）岩井俊二よりは園子温の方が100倍は好きだ。はじめて観たが、この人の映画にはとても強く人を惹きつける力がある。心から愛してやまない人がいるのもよくわかる。そしてきっと、どんな（ヒドイ／突拍子もない／メチャクチャな／醜い）ものを作ったとしてもこの人がそれを映画として作れば映画になってしまうのだろう。だからこの映画のことでは頭にきてひっぱたいても、この人の映画を観るのはやめないと思う。