はじめて観たときはとても単純に、「猟奇的」な彼女と、振りまわされるキョヌを微笑ましく見つめ、さりげない伏線とその回収、そこから生まれる清々しいハッピーエンドを素直に楽しんだ。

ただ、この映画はそもそもが、インターネットの掲示板に書きこまれた断片的な恋愛談を元にしたもので、面白いエピソードを拾ってつないだことによる「つぎはぎ感」が否めないものではあった。ただそのエピソードを（やや強引に？）まとめる伏線とその回収のみがとても映画的で、またそれが映画的であればこそ、より「つぎはぎ感」が際立ってしまうというジレンマすらあった。

しかし、二度目に観たとき、はじめはキョヌの視点で、キョヌの「イタイ」を感じながら観ていたこの映画を、彼女の「秘密」を知ってから観ることによって、この映画のもうひとつの「イタイ」、つまり彼女の「心の痛み」が見えてきたのだ。

彼女はもともと気の強い人ではあるのだけれど、特にキョヌに対してあんなにも「猟奇的」であったのには、切ない理由があった。

かけがえのない人――きっと将来も誓い合った――そんな大切な人が、突然死んでしまった。そんなとき目の前に現れた、明るくやさしいキョヌに、どんどん惹かれていく気持ちと、「彼」を忘れてしまうことに対する寂しさや罪悪感、そして「彼」にそっくりなキョヌに、ついその面影を求めてしまう気持ちと、そのことを後ろめたく思う気持ち…彼女の仕草のひとつひとつのその裏に、こんなに切ない痛みがあったのかと思うと、もう、彼女の何もかもが、よりいとおしくてたまらないのだ。そして、偶然も運命もハッピーエンドも、1度目よりずっと輝いて見える。

ただのつぎはぎに見えていたものが、美しいパッチワークキルトであったのに気付いたようなすてきな気分だ。

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※ちなみに「好きってイタイ!?」とは、日本公開時のキャッチコピー。ダブルミーニングの（？）なかなかうまいコピーだと感心しました。